CFO MAGAZINE / MANAGEMENT2026.09.23
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経営管理 MANAGEMENT

売上は伸びているのに利益が残らない会社の、管理会計の始め方

売上を増やす前に、何を売るほど利益が薄くなるのかを見えるようにする。

前年より忙しく、売上も伸びているのに利益と現預金が残らない。必要なのは営業目標の積み増しではなく、数字を見る単位を変えることです。管理会計は会計を難しくするためのものではありません。どの顧客・商品・案件で粗利が残り、どの仕事が組織を疲弊させるのかを、次の意思決定に使える形で確かめる仕組みです。

売上が伸びても利益が残らない時の見立て

起きていることまず見るべき数字
値引き・無償追加対応顧客・案件別の粗利率と実績工数。
外注・原材料の増加見積原価と実績原価の差。
回収の遅れ顧客別の回収日数と13週資金繰り。
固定費の先行限界利益で固定費を回収できる時期。
01

最初に捨てるべきは、売上が増えれば利益も増えるという前提

低粗利の大型案件、手戻りの多い顧客、回収条件の悪い取引が増えると、売上は伸びても組織は疲弊し資金は薄くなります。最初の役割は、売上を『良い売上』と『忙しいだけの売上』に分けることです。結論をコスト削減から始めず、どの取引で何が増えたかを確かめます。

02

営業利益の前に、限界利益を置く

売上から材料費、外注費、販売手数料、案件に直接ひもづく費用を引いた限界利益を見ます。精緻な共通費配賦より先に、『この案件をもう一件受けた時にいくら残るか』を答えられる状態をつくります。SaaSなら決済・クラウド・導入支援、受託なら外注・工数、製造なら材料・直接労務など、変動費の中身は業種に合わせます。

03

粗利は、顧客・商品・案件の三つの切り口で見る

最初から全件を追う必要はありません。売上上位、粗利率が大きく悪化した案件、追加要望が頻発する案件、今後の標準価格に影響する案件から始めます。顧客別には売上、直接原価、粗利率、回収日数を置きます。案件別には見積時の工数、実績、前提条件、追加要望を残し、終わった案件を裁くのでなく次の見積へ戻します。

04

固定費は、減らすかではなく、どの粗利で回収するか

固定費を、維持に必要な費用、成長のための先行費用、重複・未利用の費用に分けます。年間固定費6,000万円、平均限界利益率50%なら、固定費を回収する損益分岐点売上は1億2,000万円です。限界利益率が下がれば必要売上は急増します。費目だけを削るのでなく、価格・原価・商品構成で回収力を上げる論点を持ちます。

05

月次会議に、最初は四枚だけ持ち込む

全社サマリー、限界利益変動の要因表、重点顧客・案件の採算表、13週資金繰り表の四枚で始められます。一覧を増やすより、『どの変化が一時的か、何を変えるか、誰がいつ決めるか』をコメントとして残すことが重要です。管理会計は経理の追加作業ではなく、利益が残る成長を選ぶための共通言語です。

導入初月に経営チームで確認する七つの質問

  1. 01最も利益を生む顧客・商品・案件は何か。
  2. 02売上が増えると必ず増えるコストは何か。
  3. 03見積時点で利益の前提を説明できるか。
  4. 04進行中の赤字案件を完了前に把握できるか。
  5. 05固定費を回収するために毎月いくらの粗利が必要か。
  6. 06月次利益と現預金がずれる主因は何か。
  7. 07来月、どの数字を見れば価格・採用・投資の判断が変わるか。

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