売上が増えているのに現預金が減る会社は珍しくありません。原因は利益率だけではなく、売上の前に仕入・外注・採用費が出て、売上の後に入金が来る時間差です。融資額は月商の倍率ではなく、今後13週間と12か月で口座残高が最も低くなる日から設計します。
運転資金を決める前に、四つの時間差を並べる
利益と現金は、別のスケジュールで動く
損益計算書では売上が立った月に利益が見えます。しかし、月末締め翌々月末に回収する取引なら、現金は後から入ります。一方で仕入は前払い、給与は当月、外注は翌月払いということがある。売上が増えるほど売掛金や在庫が増え、現金が先に出ていく構造を、利益率だけでは捉えられません。
13週間表は、売上予測表ではない
13週間資金繰り表には、売上見込みではなく入金予定日を書きます。請求済み、検収待ち、未請求、見込み案件を混ぜません。支出側も費用が発生した月でなく、振込日・口座振替日で置きます。毎週、来週の入金に未確認のものが含まれないか、大型支出が漏れていないか、最低残高が動いた理由は何かを確認します。
借入額は、谷の深さではなく「谷+余裕」で決める
12月第2週に残高が500万円まで下がるなら、500万円だけを借りればよいとは限りません。主要顧客の回収が二週間遅れた場合、原材料価格が上がった場合、融資実行がずれた場合を置きます。安全余裕は売上の定率ではなく、給与・社会保険・主要仕入を守りながら、価格改定や回収交渉、追加融資の相談を行うために必要な時間として考えます。
成長投資と、恒常的な赤字を混ぜない
採用や出店、在庫積み増しにより一時的に資金が減ることと、粗利不足により毎月資金が流出することは別の問題です。前者は投資額、売上寄与の開始月、回収までの期間を示したうえで長めの資金を検討できます。後者は価格、商品構成、固定費、回収条件の改善が先です。借入で時間を買う場合も、その期間に何を変えるかが必要です。
銀行には、数字より先に資金循環を説明する
説明は、何が資金需要を生み、支出はいつ発生し、売上・入金はいつ戻るかから始めます。次に自社で圧縮できる支出、それでも残る資金ギャップ、返済開始後の残高を示します。「受注増により仕入が4月から先行し、回収は6月以降。発注条件を見直した上で残るギャップを長期借入で賄う」と言える状態が、面談の出発点です。
毎週の更新で確認する三つのこと
- 01来週の入金予定に、確認済みではないものが含まれていないか。
- 02年に数回しかない支出が、今週以降の予定から漏れていないか。
- 03最低残高を更新した理由は、回収・原価・投資・返済のどれか。
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