月次試算表を提出しても、銀行担当者が知りたいことにはまだ答えられていないことが多い。問われるのは売上高そのものではなく、なぜ増減したのか、その変化は続くのか、返済と成長投資を両立できるのかです。会計の一覧表を、事業の変化と資金の動きを説明する資料へ読み替えます。
同じ売上増でも、銀行に伝える意味は違う
月次試算表は、提出物ではなく対話の起点
銀行が知りたいのは残高そのものではありません。融資資金が何に使われ、どの事業活動から現金として戻り、循環が崩れた時に経営者が何を把握しているかです。売上が15%増えていても、それが既存顧客の継続拡大、価格改定、単発の大型案件、新規販路のどれなのかで、返済原資としての確からしさは変わります。
利益より先に、数字の鮮度を確認する
締め日が遅い、売上計上基準が月ごとにぶれる、棚卸・未払が後追いになる状態では、説明の見栄えを整えても信頼は続きません。前月実績をいつ確定できるか、計上基準と入金サイトの差、在庫・仕掛の実在性、債権年齢表と支払予定表を確認します。未確定や修正の可能性を隠さず、どこまでが確定値かを説明できることが重要です。
P/Lは、三つの分解で読む
売上の発生源、利益率の変化、固定費の先行という三つに分けます。営業利益が前年同月より300万円減ったなら、『人件費が増えた』で終わらせません。既存顧客の発注、新規案件の検収時期、外注比率、先行採用、展示会・採用媒体の出稿などに分け、各論点をいつ何で確認するかまで置きます。
B/Sには、利益が現金にならない理由が出る
売掛金、在庫・仕掛品、買掛金・未払金、借入返済の順に見ます。売掛金の増加が成長による正常な増加なのか回収遅延なのか、在庫が成長投資なのか滞留なのかを分けます。資金に効く三〜五科目だけを選び、『先月から何が動いたか、なぜ動いたか、いつ戻るか』を一枚にすれば、試算表が将来の資金需要を話す道具になります。
返済可能性は、P/Lでなく資金繰り表で確かめる
営業利益が黒字でも、元本返済、設備投資、消費税、賞与が重なれば現預金は減ります。営業収支、投資収支、財務収支、税金・社会保険を分け、月末残高の最低水準を置きます。予測と実績の差がなぜ生まれたか、今回はどう直したかを説明できる会社ほど、事業計画と資金繰りを日常の管理に使えています。
面談前に、試算表の要約を一枚つくる
今月の売上・利益・現預金、変化の理由、業種に応じた先行指標、今後の返済・大口支出・最低残高、今回銀行に相談したい判断の五項目で十分です。最後に『いつまでに、何のために、いくら必要か』『返済原資はどこから生まれるか』『外れた時に何をするか』を一文で書きます。これがない面談は報告会で終わります。
面談の三日前に確認すること
- 01試算表の締め日と未確定・概算の科目を把握している。
- 02売上を顧客・商品・単価・数量・計上時期まで分けて説明できる。
- 03粗利率の変化を原価・外注・構成・案件別採算で説明できる。
- 04売掛金、在庫・仕掛、買掛金の増減理由を確認した。
- 05試算表の利益と現預金増減の差を説明できる。
- 06今回、銀行に判断してほしいことを一文で書いた。
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