CFO MAGAZINE / BANKING2026.09.23
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銀行融資 BANKING

銀行はどの数字で返済余力を見ているのか――EBITDA・債務償還年数・DSCRの使い分け

一つの基準値に頼らず、収益力・負債の重さ・返済の耐久力を資金繰りと重ねて読む。

『利益は出ています』だけでは、返済余力の議論は進みません。銀行が見るのは、事業が生む現金に対して借入がどれほど重いか、毎年・毎月の返済をどこまで賄えるかです。EBITDA、債務償還年数、DSCRは競合する数字ではなく、それぞれの死角を補い合うものです。

三つの指標が答える問い

指標単独で使う時に見落とすこと
EBITDA売掛・在庫・税金・設備投資・元金返済。
債務償還年数返済スケジュールと一時的な利益変動。
DSCR分子の定義と、月中に起きる資金不足。
01

EBITDAは、返済に使える現金そのものではない

一般に営業利益に減価償却費を足し戻すEBITDAは、事業の収益力を見るための数字です。しかし売掛金や在庫が増え、税金・設備更新・元金返済が重なれば、EBITDAが高くても現金は残りません。資金繰りの代わりに使わず、平常時にどれだけ稼ぐ構造があるかを見る数字として扱います。

02

債務償還年数は、負債が収益力に対して重すぎないかを見る

有利子負債をEBITDA、または当期純利益と減価償却費の合計で割る考え方です。短期借入、役員借入、臨時損益をどう扱うかで結果が変わるため、社内の定義を固定します。重要なのは単年の数値でなく、負債が増えてEBITDAが横ばいなのか、EBITDAが改善しても運転資金が増えているのかという推移です。

03

DSCRは、返済額に対する余裕を見る

DSCRは返済原資を年間元利返済額で割る考え方です。1.0を下回ると、定義上は返済原資が年間返済額を下回ります。ただし、分子に税金を差し引くか、減価償却費をどう扱うか、分母に既存・新規借入の何を含めるかは個別の契約・社内定義を確認します。数値だけを比較せず、算式を一緒に保存します。

04

指標の後に、13週と12か月の資金繰りを置く

確認の順番は、平常時の収益力をEBITDAで見る、負債の重さを債務償還年数で見る、年間返済への余裕をDSCRで見る、その後に13週間・12か月の最低残高を確認する、です。年間では返済可能に見えても、賞与、納税、季節仕入、返済開始が重なる月に資金が尽きることがあります。

05

面談では、指標を並べるのでなく管理の仕方を説明する

『EBITDAは改善している一方、売掛金と在庫の増加で成長資金が先行している。債務償還年数とDSCRを月次で追い、追加融資後も返済開始月以降の最低残高はこの水準。回収が一か月遅れたら採用と発注を調整する』と話せる状態をつくります。数字を良く見せるためでなく、返済余力をどう管理しているかを伝えるための説明です。

月次で確認すること

  1. 01EBITDAの定義を固定し、臨時損益を別表示している。
  2. 02有利子負債に含める借入範囲を明確にしている。
  3. 03債務償還年数を単年でなく推移で見ている。
  4. 04DSCRの分子・分母を契約・社内定義と照合している。
  5. 05新規借入後の元金返済を月次資金繰りに入れている。
  6. 06下振れ時に止める投資・採用・発注の基準がある。

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