仕入から売掛回収まで二か月かかる資金、繁忙期だけ積み上がる在庫、何年もかけて収益を生む設備を同じ運転資金として借りると、黒字でも資金繰りは苦しくなります。当座貸越、短期借入、長期借入は、金利や審査の難易度だけでなく、資金の回収期間と返済期間を揃えるための道具です。
資金の性質から考える借り方
まず、借入でなく資金の性質を分ける
日々動く仕入・外注・給与、季節在庫や特定案件の立上げ、機械・店舗・システム・拠点・人員増強は、現金に戻るまでの時間が違います。採用費は会計上費用でも、売上化まで一年かかる新規事業の人材投資なら翌月から短期返済を始める設計は危険です。資金が出る日、売上が立つ日、入金日、返済開始日を一枚で重ねます。
当座貸越は、日々の振れ幅を吸収する枠
当座貸越は一定の極度額内で借入・返済を繰り返せる形態です。月末の仕入・給与と翌月以降の売掛回収の間、季節的な在庫・外注費、入金日が数日ずれる資金に向きます。一方で利用残高が毎月少しずつ増え、繁忙期後も戻らないなら、短期の振れ幅ではなく恒常的な運転資金や収益構造の問題です。
短期借入は、回収の見えている案件に合わせる
受注済み案件の材料仕入、検収後の入金が見える外注費などは、支払日、売上・入金日、入金が一か月遅れた時の残高、回収が遅れる時の返済原資を置きます。新商品を見込んだ先行在庫は、販売量と回収時期が未確定です。同じ仕入資金でも短期借入だけで賄うと、売上の遅れと返済が重なります。
長期借入は、設備だけのものではない
設備だけでなく、新拠点の立上げ、大口取引先の獲得に伴う人員・在庫・認証、基幹システム刷新、既存借入の返済平準化、収益改善までの運転資金も、回収が長期にわたることがあります。長期化は月額返済を小さくするためだけでなく、どの投資・改善から返済原資が生まれるかで検討します。
資金繰り表を、借入設計図として使う
月ごとに営業収支、設備投資、借入実行、元金返済、当座貸越残高、期末現預金、主な資金イベントを並べます。そこから、設備投資を何年で返すか、営業収支の振れ幅を枠で吸収するか、入金が一か月遅れた時に借入・投資時期のどれを変えるかを経営会議で決めます。借入を一度きりの調達イベントにしないことが重要です。
銀行に持っていく前の確認
- 01全借入の使途・実行日・返済開始日・最終返済日を一覧化した。
- 02新規借入ごとに資金が現金へ戻る期間を説明できる。
- 03当座貸越の残高がどの月にどこまで戻るか確認した。
- 04短期借入の返済原資となる入金予定を特定した。
- 05長期借入の収益化時期と返済開始時期を比べた。
- 06入金が一〜二か月遅れた場合の資金繰りを試算した。
DEBT FINANCING
銀行融資調達
資金使途、返済計画、銀行との対話を、実行できる調達計画へ。サービスを見る →FIRST CONVERSATION