SOは、現金報酬だけでは採りにくい人材と会社の成長による価値を共有する仕組みです。ただし候補者から『何%ですか』と聞かれて決め始めると、後で歪みが出ます。必要なのは比率の慣行ではなく、採用計画、fully dilutedの持分、行使価額、退職時の扱いまで一続きで決めることです。
SOプールを、採用計画から逆算する例
最初に決めるのは、比率ではなく採用計画
SOプール10%という数字だけでは判断できません。次の18〜24か月にどの役割を、いつ、どの水準で採るのかを積み上げます。付与済み、決議済み未付与、候補者に実質確保した分、失効見込み、将来必要な分を分けることで、大きすぎるプールを慣行として抱えることを避けられます。
付与率ではなく、付与理由を説明できるようにする
創業直後の0.3%と、シリーズA後の0.3%は同じ意味ではありません。会社価値、現金報酬、役割の代替可能性、組織の成熟度が違うからです。対象者、役割、採用時点、fully dilutedベースの比率、行使価額と根拠、税制適格性の確認状況、退職・追加付与の条件を残し、採用担当と候補者だけで条件を固めない運用にします。
行使価額は、直近ラウンドの価格を転記しない
国税庁は税制適格SOの行使価額について付与契約時の株価以上であることを要件として示しています。優先株には残余財産分配優先権や転換権などが付く場合があるため、直近ラウンドの優先株価格と普通株式の価値が常に同じとは限りません。評価基準日、株式の種類、対象者、行使期間、年間行使額を個別に確認し、税務専門家と検討します。
税制適格かどうかだけでなく、対象者が行使できるかを考える
未上場会社では、行使して株式を取得しても直ちに売却できるとは限りません。税制非適格の場合は、行使時の経済的利益が課税対象となり得て、売却前に行使資金と納税資金が必要になることがあります。将来の上振れだけでなく、行使資金、課税、流動化機会、退職後の行使期間、失効条件を一般論と個別助言を区別して説明します。
退職時の条件が、制度への信頼を決める
自己都合、会社都合、疾病・死亡、長期休職、競業行為などを同じ扱いにするのか、失効にするのか、一定期間の行使を認めるのか。ベスティング、クリフ、退職事由別の条件、相続時の扱い、取締役会の裁量を契約に明記します。価値が上がってから個別に判断すると、制度は報酬でなく争点になります。
IPO前に、履歴を証憑までたどれるようにする
確認されるのは現在残高だけではありません。誰に、いつ、どの決議に基づき、どの条件で付与し、何が失効し、誰が行使したか。分割時の調整も含め、決議、付与契約、SO台帳、行使通知、払込記録、cap table、株主名簿、登記情報を結びます。上場を意識する段階では、公開前規制と付与・行使・株式移動について主幹事、監査法人、弁護士と確認します。
付与前チェックリスト
- 01採用計画からSO必要量を積み上げた。
- 02付与後・次回調達後のfully diluted cap tableを確認した。
- 03未付与、付与済み、失効見込みを分けて管理している。
- 04行使価額の評価基準日と根拠を保存した。
- 05税制適格性を税務の専門家と確認した。
- 06退職・失効・行使条件を付与契約に明記した。
- 07決議、契約、行使、株式交付をSO台帳で追える。
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